鍵穴みたいな形の古墳ってあったよね

シンボルとして考えた場合、鍵穴の形状はとてもポピュラーです。アクセサリーなどの装飾品として使われることはよくありますし、シルエットだけでそれとわかる形状は、象徴的な意味あいを表すのに適しているのでしょう。
最近ではデジタル環境における暗号化、つまり「カギ付き」のシンボルとしても使われている鍵穴のマークですが、他にもさまざまな場面でみることができます。

日本の古代の墳墓を古墳と呼びますが、もっとも有名なのは前方後円墳ではないでしょうか。この古墳の形状も、よく鍵穴に例えられます。実際にはおそらく鍵穴との関連はありませんし、前方後円墳という名前の通り、正面が方形(四角形)で後ろが円形であることから、通常の鍵穴の形状とは逆さまとも言えるのですが、だれしも最初に見たときには鍵穴を連想してしまうものです。
鍵穴型の古墳、前方後円墳のなかでももっとも巨大なものが、仁徳天皇陵の名前でも知られる大仙陵古墳ではないでしょうか。大阪府堺市にあるこの古墳は、一般的に第十六代仁徳天皇の陵であるとされていますが、考古学的にはほぼ否定されています。ただし管轄する宮内庁は調査のための発掘を認めておらず、学術的な確定は困難な状況です。まさに古墳自体が「カギ付き」という状況なわけです。

もっともこの仁徳天皇陵ですが、おそらく大部分がすでに盗掘被害にあっていると考えられています。後円部分にあると考えられている埋葬施設自体、すでに江戸時代には露呈していたことが分かっており、盗掘されていると考えられているのです。
ただし前方部分にある石室からは、明治時代の発掘調査によって副葬品が出土しており、当時の流行や文化などを知る重要な手掛かりとして調査対象となっています。なお、このときも石室自体の開封調査は行われていません。

かつては人の目から隠すことでカギを掛けていた古墳が、現代では国家管理によってカギ付きになっているというわけです。