もしも無人島で鍵を失くしたら

人の行動を考えるとき、無人島というのは実に効果的な設定です。たとえばマッチやライターがない状態で無人島に漂着したら、生きていくために必要な火はどうやって入手するか。また、それをどうやって持続してくかが重要なポイントになるでしょう。水や食料といったものはもちろんのこと、缶切りや糸と針なんてこともよく言われるところです。現代社会では簡単に入手できるばかりに、そのありがたみが忘れられているものがたくさんあるのだということでしょう。
人間の行動原理は、その人が置かれた環境によってさまざまな影響を受け変化していきます。つまり無人島というシチュエーションは、そうした条件を一定に保つことにより、その人が取る本来の行動や思考を浮き彫りにしているとも言えるのです。

「無人島に持っていくなら」という舞台設定はよくありますが、逆に無人島に持っていっても仕方がないものとは何でしょう。代表的なものは現金、特に紙幣ですが、たとえばこれは救助可能な人々に遭遇したときの買収用としては真価を発揮するでしょうから、まったくの無駄というものでもありません。いずれ文明社会に復帰することを前提とするならば、現金というのはあったほうが良いということになります。

ではそれを入れておく金庫はどうでしょう。これはほぼ必要ありませんが、風雨にさらされることを考えれば「入れ物」としては必要かもしれません。
それでは「カギ」はどうでしょう。無人島では金属の道具が貴重な存在となることが考えられますから、なにかを削ったり、加工したりするときは便利かもしれませんが、本来の「施錠する」という機能に用はなさそうです。防犯性能を発揮したとしても、それを守る相手が人間以外であれば、少なくともカギは必要ないからです。

しかし、たとえば缶切りだって缶を開けるカギの一種だと考えることもできます。もしそうなら、そのカギを失くしたら死活問題ということになります。